ちょっと知りたい寿町とホームレス

 

ホームレス(家がない)と一概に言っても、その生活の状態にはいろいろなレベルがあります。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 住む場所はどこ? ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

<アオカンする人たち>

1番みなさんの身近に目に付くホームレスの方は路上生活者でしょう。
そういう野宿生活を
「アオカン」といいます。
たいてい、ダンボールハウスを作って雨風をしのぎます。
下手な毛布より暖かいそうです。
(でももちろん、冬には凍死してしまう方もでます。)

 

<ドヤに住む人たち>

では、アオカンしないホームレスの方は、どこに住むのでしょう?
それはたいてい
「ドヤ」という簡易宿泊所です。
通常2〜3畳程度の広さで布団をしくのがせいいっぱいの広さ。
TVがある所もない所もあります。
「人が住む宿ではない」と自嘲的に逆さまによんだのが始まりといわれます。
もともと、日雇い労働で身を立てる人たちのためにつくられたドヤ。
だから
「ドヤ街」と言われる地域は、現場の仕事が多く、出稼ぎ労働者が集まってくる都心にあります。
3大ドヤ街として、東京の「山谷」・大阪の「西成(釜ケ崎)」と、この横浜の「寿町」が有名。
現在の不況のあおりを受けて職がなくなってきたため、更にリストラによって 職も家族も失い、ホームレスになった方々も、同じ境遇の仲間がいて生活しやすいところに集まってくるため、この3地域がメインの「ホームレスの人たちの溜まり場」となってしまっています。

寿町には、約400m2 程の一角に7000-8000人もの人が暮らしています。
冬は、夜通しで焚き火をして凍死を防いでいる風景が目に付きます。
(あれを「越冬」って言うのかな?)

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 生活保護と実生活 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

<生活保護の普及は?>

ところで、これらの方々はみんな、公共の「生活保護」を受けられるでしょうか?
対象となる人は、
・65歳以上
・病気・けがをして通院していて働けない
(アルコール依存症は病気として認定されます。通院もしくは、アルコール依存からの回復を助ける団体へ通う事が条件。)

失業を理由には生活保護は受けられず、住所不定でも受けられません。
アオカンをしている方ではだめなのです。
そこで、野宿生活者が生活保護を受けられるようにする対策として、仮にドヤを決めてあげてそこを住所として、保護認定を与える、という手段をとっています。

年々、生活保護対象者は増える一方で、99年概算値で約5000〜6000人と想定されます。
寿町のある横浜市中区では、ケースワーカーが一人当たり100人ほど担当しているという話もあります。
(ここまで多いとケースワーカーの方々の労働条件も心配になりますね。もっともこの値は不確実な情報です。もし関係されているお仕事の方がいらっしゃれば、正確な情報をお教え頂けると幸いです。)

晴れて生活保護の対象となると、ケースワーカーがつき、月初めに援助金(12〜13万円?)が支給されます。

 

<生活保護の対象外の人はどうやって生きるの?>

寿町には、99年現在、2000人を越える生活保護対象外の方がいます。
横浜市中市役所では平日毎朝、対象外の方のため、定期的に
「ドヤ券」「パン券」を配ります。
彼らは朝4〜5時くらいから並んで、その券を手に入れるのです。
ドヤ券とは、1,500円までの所定のドヤ(対象:約20軒)に泊まれる宿泊チケット、
パン券とは、所定の店(対象:約5軒)で酒・たばこ以外を690円(税別)まで買う事ができる買い物チケット。

では、ドヤ券をもらえば、必ずドヤに入れる保証があるでしょうか?
ドヤ券のうち、カモメのマークが入ったもの(何故かこんなとこまで港町っぽい(^_^;)・・)は、ドヤがしっかり確保されています。
入っていないと自分で歩き回ってドヤを探し回らなければならない上、券があっても実際泊まれるところがなかったりします。(このようなチケットを「カラ券」といいます。)
結局アオカン…という事もしばしば。(どうしてこんな中途半端がまかりとおるのか。なんかとても不条理な気がするのですが…)

すると、彼らも「頑張っても無駄」と思い、そこに付け入る闇ブローカーのような人が現れます。
そのような業者にカラ券を持っていくと、安めの値段で買い取ってくれ、お金が手に入ります。
パン券も同様、お金にかえる不正手段がはびこっています。

他のドヤ街2地域と比べ、横浜市は福祉へ力をいれて取り組んでくれていると感じます。
でも、それを悪用する人間もいて、裏でこのような事が行われているのも実状です。

 

<炊き出しは大切な食料源>

正月には横浜市が炊き出しを行なってくれますが、日常的にはありません。
パン券も必ず手に入る保証はありません。
恐らく、カナンキリスト教会の週に2回の路傍伝道や礼拝、救世軍、各種ボランティア団体の活動は、彼らにとっては重要な生活の支えとして利用されていることでしょう。

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 生活の支えかた(求職編) ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

<日雇いの仕事>

横浜市には関内に一般の人向けの職安があります。
同じように、寿の人に向けた職安の窓口が、福祉センターの中にあります。
まず、職安に登録。
すると写真と身柄、住所などが書かれた
白手帳というものがもらえ、求人紹介の権利を得ます。

求人には、1日だけのものもあれば、数ヶ月に渡るものもあります。
彼らは仕事を得るべく、窓口に殺到します。
もちろんものすごい倍率。

職安で紹介された仕事が終ると、業者さんは白手帳に印紙を貼ってくれます。
これを貯めると、失業後(
あぶれる、といいます)失業保険のようなもの(あぶれ手当)がもらえます。

福祉センターを通さず、仕事をゲットするには、まず朝早く夜明け前から起きます。
路上で彼らを誘い、話がつくとマイクロバスで連れて行く
手配師が来るまで待機。
手配師の中には、紹介料として彼らの日給から法外な額をとる(ピンはねする)人もいます。

 

ごくまれに、張り紙でも求人があります。ある時は某建設会社の求人案内が張ってあり、みんなチェック入れてました。(私は気づかなかった・・・)

<定職につくための就職活動>

住所不定の彼らにとって、履歴書・保証人など、彼らに極めて不利な要素が多いため、定職に就くのは極めて困難なのが事実。
(保証してくれるような人がいれば、ホームレス生活にもならない可能性が高いですからね。)

佐藤師も誰かの保証人になったが、仕事を得たその人がその後いなくなってしまった、など苦しい経験も幾度かあるようです。

 

* お願い *
 
私も無知ながらにいろいろ学びながら記しています。
不備な点などありました際は、ご一報下されば感謝です。

 

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