かけっこがきらいだった

大きなお姉ちゃんたちが じゃんけんで人を取り合う

私は 最後まで残ってしまうから

最後に勝った子は 必ず言う

私のこと「いらない」って

 

誰も私のことなんかいらないんだ

そう思っていた あの頃

 

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学級委員は やりたくないけど

推薦されて選ばれると ほっとする

 

友達は いっぱい いるんだけど

たった一人でも 私のことを嫌いな子がいると

ものすごく憂鬱で 学校なんて行きたくなくて

 

いつも みんなに 愛されたかった

愛を求めて 生きていた

自分さえも愛せなかった ちっぽけな私

 

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親の理想に 合わない私

学校でも 優等生には なれない私

お姉さんと比べないで 私だけを見て欲しい

心は いつも叫んでいるけど 言葉にはならなくて

ずっとチャンスを探してた

私を 認めてもらえるように

私を 愛してくれるように と

 

そして あの季節が 始まった

 

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中3の夏は短かった

食べること 眠ること そして勉強

私の人生は それだけ だった

 

勉強しないと とても不安でたまらなくて

休む理由がないと やめられないから

勉強しない時は 何かを食べた

棒のようだった足も いつのまにか太くなって

 

全国模試で 一位をとった

「合格確実」の4文字を信じて

よかった模試をたくさん 枕元に並べて眠った

どこにだって受かると 信じてた

 

なのに どうして

私の番号は そこになかった

かわりに あの娘の番号だけ

私の方が優秀だったのに

 

ほんとは 学校なんてどうでもよかった

ただ 私を 受け入れて欲しかっただけだったのに

誰も 私の苦しい気持ちを わかってはくれない

こんな広い世界で 私は ひとりぼっち

 

生きることが こんなに辛く 孤独で 哀しいことなら

もうたくさん

ここから飛び降りれば 死ねる

それでも 2歩めの足を 踏み出せなかったのは

死んだらすべてが終わるのか そうじゃないと気づいたから

天国にいけないのが 地獄をさまようのが 恐かったから

生きていれば いつかきっと いいこともあるって

思ってみることにした

 

それが 新しい人生への扉を開けた瞬間だと

その時はまだ 気づいていなかったけど

 

 

第二章 光


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