***** 名前で呼んで、愛して欲しい  (2006年9月) *****
 

皆様、こんにちは。いかがお過ごしですか。
日本は秋色に徐々に彩られていく一番美しい頃かもしれませんね。
私はジジガの暑い日差しに照らされて、着々と黒く彩られて?いる気がしますが、ここではダントツの色白です。
 

■ 今月の活動と報告 ■

1.子どもはすぐに応答してくれる

 9月11日にエチオピアの新年(エチオピア暦で1999年1月1日)を迎え、アジスアベバ でお祝いをした後、14日から10月1日までジジガにて過ごしました。
 最初に取り組んだのは、図書室ミニストリーです。
 事務所の入り口を入ると、庭に別館の形で小さな図書室があります。孤児たちが勉強したいと思っても、大抵落ち着いて学べる机や椅子、環境もなければ、本もありません。そのため図書室を設置したのですが、これまであまり活用されている様子ではありませんでした。そこで、子どもたちが入ってみたいと思えるように、中で楽しい気分で勉強できるように、もっと勉強しやすいように、いくつかの小さな改造計画を立てました。まず、室内の数々の注意書き(本を破らないように、エイズへの注意呼びかけなど)に挿絵をつける。身体器官の構造など、英語だけだったのものにアムハラ語を加え、入り口に「ようこそ!」とアムハラ語の文字をつける。そして、気軽に入れるように扉をいつも開けっぱなしにしておく、などなど。
 合間を見てはその準備を1つずつ進めていたのですが、その途中、図書室を開けたままで事務所内で仕事をし、もう一度図書室に戻った らなんと!早めに補講クラスにやって来た子どもたち数人が既に、中で本を読んだり、宿題をしていたのです!
扉を開けておくだけでも、この子たちはすぐ応答してくれる。私ができることはわずかだけど、ほんの小さな工夫、小さな助けでもよいのだ、と涙が出るほど感動しました。


早速図書室に入っていた子どもたち
 

2.名前を呼んで、愛して欲しい

 その他にも、地域の若者に向けてエイズ予防の知識、感染者への理解と助けあい、節度ある生活による問題解決を呼びかける反エイズクラブ、地域リーダー・宗教リーダー・住民が人々の身近な存在として同様の呼びかけを主体的にできるようになるためのカウンセラートレーニング、孤児たちや各地域の孤児擁護委員会のメンバーを招いての新年会など、もりだくさんな日々でした。
 それでも日常の子どもたち一人ひとりとの交流の大切さを想い、子どもが来ると、なるべくヒマそうにぶらりと出て行って一緒に話したり遊んだりしていたのですが、その中でふと気づきました。多くの子どもが「僕の名前覚えてる?」と何度も聞き返し、私が来ると抱きついてきて、何度も頬をすりよせてきます。特に、問題行動の多い子ほどその傾向は強いのです。
 彼らは、自分の名前を覚えて欲しい、呼んで欲しい。つまり一人の人として覚えていて欲しい、愛して欲しい、それを私に全身で表現して欲しいのです。
 そこで、新年会のプレゼントとして一人ひとりに「**ちゃん、あなたを愛しているよ」と伝わる何かを届けたいと想い、一人ひとりの名前と「わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している。」という旧約聖書の御言葉(イザヤ43:4)をアムハラ語と日本語で書いたハート型のカードを作りました。
 幸いイスラム教徒の子にとっても旧約聖書は預言書的扱いなので、彼らの宗教観を圧迫することもなさそうで、ただ聖書箇所のかわりに「あなたの神からあなたへの言葉」と書き、またソマリ人の子たちには英語を用いて、違和感や不快感がないよう配慮しました。(ソマリ人はアムハラ語も話せますが、人によってはエチオピアを押し付けられているように感じる民族的感情があるようです。でもソマリ語の旧約聖書がないため、今回は残念ながらソマリ語に翻訳できなかったのと、ソマリ語では英語のアルファベットが用いられているので、名前はソマリ語でも英語でも同じになるからです。)
 自国語のみならず未知の外国語・日本語で自分の名前が書いてある、というそれだけでも子どもたちにはとてもうれしかったようで、想像以上に大好評!ソマリ人の大人まで興味を示してくれて、私もとてもうれしくなりました。子どもたち一人ひとり皆に「**ちゃん、あなたは尊い存在なんだよ、愛されているんだよ」という絶対的な神さまからの声が心に残って、この先もがんばって生き続ける力になってくれれば、と心から願っています。


愛の言葉のプレゼント
 

3.治安懸念と今後の働き

 ジジガでは、そのように、子どもたちを通して私の方がむしろ心満たしてもらえた本当に素晴らしい日々でした。それは、尊敬すべき現地スタッフたちが、子どもたちに心を尽くして築き上げてきたこれまでの素晴らしい関係の基盤ゆえであり、今後一緒に労しての展開を大いに期待しているのですが、 実はエチオピアとソマリア国間の関係が悪化し、一触即発の緊張状態となっているため、今後の治安懸念を考えると、来年1月から新しい3年計画となるジジガのプログラムを進めてよいのか、きりの良いこの12月で終了すべきでは、という大議論がなされています。
 私個人としてはせっかくここまで来たのに中途半端な状態でこの働きを終えるのではなく、ぜひとも安全確保の対策をしっかりした上で、次の3年を私たちがいなくなった後も続く「人」を育てる期間としたい、と心から願っていますが、私たちはチームで働くものです。現在ここからどう進むべきかスタッフ皆が一致していく必要があります。
 どうか、神の御心にかなった最善の道が開かれますよう、覚えてお祈り下さい。
 

4.感謝のご報告

 なお、感謝なことに、御言葉に耳を傾けることを大切にして、温かい人々が集う教会が見つかりました。
 通常の住居は、先行未定の事情と治安確保の懸念のため、決定できませんでしたが、そのかわり、ジジガで活動する他の国際NGOのゲストハウスに宿泊でき、今後も空き部屋がある限り宿泊させてもらえる見込みとなりました。安全対策の配慮も設備も充実していて、私が祈り求めた環境のすべてがそろっています。
 思いもよらぬ展開ではありますが、皆様が執り成して下さったお祈りの結果として与えられた当面の住居、最善の環境であることを確信し、心から感謝してご報告いたします。
 

5.エチオピアを知り、支える機会として

 これまでお伝えしてきたエチオピア東部・ディレダワの洪水被害の復興支援チャリティーとして、日本エチオピア協会が「2006エチオピア料理とダンスの夕べ」(10月13日(金)18:00より東京広尾のJICA地球ひろば3Fホールにて)を開催するそうです。
 エチオピアの食事、ダンスその他の文化を知り、交流を持ちながら、被災復興支援にもなる素晴らしい機会です。ご興味のある方はぜひ以下へお問い合わせ下さい。
(注:JIFHのイベントではありません。詳しくは社団法人・日本エチオピア協会(TEL:03(3340)5450, E-mail: info@ethiasso.jp)による案内をご参照下さい。
 
 

 ■ 覚えて欲しいこと(お祈りの課題) ■

● ジジガ・HIV/エイズプログラムの今後の継続の可否、方向性について、神さまの望む道がわかり、スタッフ皆が一致して、最善の展開へと向かえますように
● ソマリアとエチオピアの関係が回復され、ジジガの街の孤児たち・人々誰もが、喜びと平安をもって生きていけますように
● 高橋ゆかりスタッフの働き(サシガ・アジスアベバ)が祝福され、人々に最も良く仕える道が開かれていきますように
● 高橋ゆかりスタッフと私、および日本にいる家族の健康が、霊肉共に支えられますように
 
 

 名前を呼ばれること、愛されること。ジジガの孤児たちだけでなく、日本の子どもたち、大人である私たちにも必要で、大切なことだと想います。
 どうか、私たちが身近な人との関係で、この当たり前だけど損なわれがちなことを大切にしていけますように。
 そして、私たち一人ひとりの名前を呼び、「あなたは高価で尊いんだよ。あなたをこんなにも愛しているんだよ」と御子キリストを十字架の死に従わせてまで私たちを愛し、いのちを与えて下さった父なる神の愛と平安が、皆様お一人ひとりの心の内を満たしますように。
 

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** 平安をあなたに **

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